からだとこころ なみのね相談室

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なみのね相談室概要

目的

「今・ここ」の自分の自体軸をはっきりさせ、自己確実感を得、自分の人生を自分でコーディネイトし、自由で創造的な人生をおくれるよう、児童生徒さんを支援します。
主として、不登校・肩こり・首凝り・睡眠障害・不定愁訴・腹痛・頭痛・過呼吸・うつ状態などの改善を目指します。

医療支援が必要と見なした場合、保護者の方と相談しながら、医療機関と連携し、よりよい改善方法を探ります。

対象

小学生・中学生・高校生(必要に応じて、保護者の方との面接や相談も受け付けます。)

方法と目指すこと

言語面接の他に、主として「臨床動作法」を用い、よりよい動作体験によって、からだとこころの不調を改善します。また、その他のアプローチとして、木の絵を描くバウムテストや、一緒にお話を作るMSSM法、一緒に過程を体験する風景構成法なども取り入れながら、ラ・ポールの実現を目指します。
このように、自己理解を促すためにイメージ療法なども組み入れながら、不調の原因となっている体験の様式(仕方)を変容し、さまざまなこだわりを解き、気にならなくなることを当面の目標とします。
そして、「今・ここ」の自分と出会うことで、現状から一歩踏み出して、適切な力を適切に入れながら、しっかりと前に向かって歩き出すことを目指します。

臨床動作法について

歴史

1963年、故成瀬悟策先生(九州大学名誉教授)が「臨床動作法」を確立されました。
それ以前から、肢体不自由の人の手足が動作法を用いると動くことから、脳性麻痺の人などの動作訓練は行われていましたが、からだとこころが切り離せない存在として、からだを動かすことでこころに働きかける、心理療法としての確立でした。

以来、臨床動作法は成瀬先生により「体験治療論」として理論化され、さまざまな発展をとげ今に至っております。詳しくは「日本臨床動作学会」のHPをご覧ください。

体験治療論

私たちは毎日、さまざまな体験をします。体験には客観的な「体験内容」と、個々それぞれに違った「体験の様式(仕方)」があります。たとえば、同じ夕陽を見ていても、「ああ、きれいだな」と心を揺り動かされて爽やかな感じを体験していることもあれば、何らかの悲しみを重ね合わせて、背中を丸めてしょんぼりとうつむいている、という体験の仕方もあるでしょう。 音楽発表会で、自信に満ちて余裕の姿で発表の順番を待っている人もいれば、焦りで硬くなっている人もいるでしょう。

このように、体験の仕方はそれぞれに違いますが、それが「困り感」につながっていき、体調不良にまで発展してしまったら、日常生活に支障が出ます。そのようなときに、自分の体験の様式(仕方)に気づき、体験の様式(仕方)を変えるだけで、心の持ちようも変化していくのです。なぜなら、からだとこころは切り離せないものだからです。 臨床動作法では、動作課題に取り組むことで、クライエントが体験の様式(仕方)に気づき、望ましい方向に変えていくお手伝いをします。このように、体験の仕方へのアプローチによってこころの治療につなげていくので、「体験治療論」と称しているわけです。

出会い

20代も終わろうとするころ、急に耳鳴りに悩まされる日々が訪れました。早朝、耳鳴りによって起きてしまうのです。両耳に、蚊の鳴くような音が聞こえます。しかも、それぞれに違う破調の音で。たまらなくなって起きると、耳鳴りは治まります。 耳鼻科に通ったり、本屋さんでいろんな本を読みあさったりしました。そんな中で、もしかしたらストレスからくるものかもしれないという記述に目がとまり、カウンセリングを受けてみようかという気持ちになりました。

知り合いのカウンセラーから紹介されたのは、臨床動作法の技法を用いていらっしゃる先生でした。おそるおそるそのドアをたたき、臨床動作法を体験しました。それは、背中や肩を動かすという簡単な動作によるものでした。ところが、動作法(臨床動作法を通称で動作法と称しています。)の後に起こってきたことは、からだとこころの劇的変化でした。

その日を堺に、自分のからだの動きに目が向き、こころも同時に自分の内面に向かいました。耳鳴りはほぼ3回のセッションで気にならなくなり、さらに、「今」に注目することで、いろんな夢を見たり、いろんなことを思い出したり、自分の「過去」を整理し始めたのです。同時に、「未来」に向けて、現実的な検討を加えるようになりました。 文学少女として育った夢見がちな女の子が、わけもわからず成長し、自分の整理もつけないままに夢中で生きてきた、とでもいいましょうか(ちょっとキレイな表現すぎますね笑)。臨床動作法との出会いは、そんな「子ども」が、「大人」としてスタートする、人生のターミングポイントとなりました。

その後

カウンセリングとしての臨床動作法は、「ブリーフセラピー」と呼ばれるように、短期間で望ましい変化が起こり終結を向かえることが多いのですが、私の場合、未知なる自分との出会いが新鮮で、もっと自己理解をしたいという願いから、二年間、動作法の相談室に通いました。

そして、その後は本格的に学ぶために、主に関西の「研修会」に通い、2020年には、「臨床動作士」の資格を取得しました。取得に大きく近付いたのは、5回のカンボジア体験でした。ことばが通じない中で、クライエントさんと向き合い、しかも一期一会の出会いの中で、何とか援助したいという思いから、目の前のクライエントに全精神を集中して取り組むことを覚えました。

資格取得後は、自分の未熟さを痛感し、故成瀬悟策先生や鶴光代先生といった超ベテランの先生方が講師をされる研修会や学会主催の研修会には、九州、東京、長野や名古屋、大阪、など、どこにでも参加し研鑽を積みました。

そのうちに、転勤を機に本業の国語が忙しくなり、さらにコロナ禍で様々な研修が中止となる中、少し遠ざかるときもありましたが、ZOOMを利用した研修などで、「触れない」動作法の研鑽も積み、かえって幅が広がったように思います。
現在は、高校でも国語を教えると同時に保健室で教育相談を担当し、さらに「大阪動作療法の会」の講師補助をさせていただいております。

改善した症例

肩凝り 首凝り 頭痛 腹痛 息苦しさ 過呼吸 焦り 不安 手汗 不定愁訴 頻尿 不眠 以上の症状のいずれか或いはいくつかを伴う不登校 など

こころの不調には、多くからだの不調が伴います。むしろ、本人にとっては、こころの不調は意識されずに、身体の不調のみが意識されている場合も多いのです。

ですから、臨床動作法の言語面接では、からだの不調に焦点を当てて、その背景となっている「体験の様式(仕方)」を変容するための動作課題を設定し、それに一緒に取り組むことで、結果的にクライエントの「体験の様式(仕方)」が変容し、これまでのこだわりがなくなったり、気にならなくなったり、主体的に動き出すことを目指します。